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出棺
とうとう出棺です。
「もういいですか」と葬儀屋さんに言われ、
「それではお坊さんの後に一列になってついていってください」と言われました。
お坊さん、母親、位牌を持った弟、写真を持った私の順に一列になって、ゆっくりと歩いてエスカレーターに乗り1階に下りて行きました。
エスカレーターの中で突然母親が言い出しました。
「トイレに行きたい」
告別式が終わって、最後のお別れの準備を葬儀屋さんがする間に「トイレに行っておいてください」と言われていました。
火葬場までは時間的に30分位かかります。
「さっきトイレをすましておいてくださいって言ってたでしょ!」
と私は思わず笑いながら言ってしまいました。
しかし、母親が言うには、告別式に遅れてきた遠方の親戚が火葬場に行かずに用事があるのですぐに帰ると言うので挨拶をしていたから、トイレに行けなかったということでした。
家族葬にしても、来て下さった方の挨拶に追われてしまうのですから、一般葬にしたら参列者も多くなり、挨拶におわれもっと忙しい思いをしてしまうのでしょうか。
ゆっくりと故人とのお別れができなくなってしまうというのはこういうことなのかと思いました。
下に行くと、男性の人たちが棺桶を持つために2列になって待っていました。
小学2年生のひ孫までいっしょに並んで一生懸命棺桶を持ってくれていたので、ほほえましくてさっきまで泣いていたのに笑顔になってしまいました。
棺桶を霊柩車に積み込み、母親もトイレを済ませて、母親と弟と私の3人が霊柩車に乗りました。他の人たちはマイクロバスで火葬場へと向かいます。
初めて乗った霊柩車。リンカーンとかいう車だそうで、シートは革張りの車内も広い車でした。
車内では、母親が葬儀屋さんに満足したようで、良心的だね と話しました。